社会的養護施設第三者評価結果 検索

聖母愛児園

【1】第三者評価機関名 (特非)ニッポン・アクティブライフ・クラブ ナルク福祉調査センター
評価調査者研修修了番号 SK2021105
SK2021104
SK2021185
SK2021191

【2】種別 児童養護施設 定員 96名(暫定80名)
施設長氏名 三嶋 充裕 所在地 神奈川県
URL http://seiboaijien.com
開設年月日 1946年05月31日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 キリスト教児童福祉会
職員数 常勤職員 55名 非常勤職員 6名
有資格職員 保育士 30名 公認心理師 1名
栄養士 1名 調理師 2名
社会福祉士 6名 教職員免許状 4名
施設設備の概要 (ア)居室数 60室 5LDK+Sのマンション型の生活空間 (イ)設備等 親子生活訓練室、心理療法室、医務室、静養室
(ウ) 地域交流ホール、園内保育スペース (エ) プール、リネン室、防災倉庫、職員宿舎
【3】理念・基本方針 【理念】
あなたがたは、神の家族です。エフェソの信徒への手紙2章19節
わたし(キリスト)が愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。ヨハネによる福音書13章34節

家庭的な生活環境(小規模ユニット型)の中で、家庭的な養育を推進し、子ども達と職員が共に育み、互いに愛し、一般的な家族の概念を超えた、神の家族として成長していくことを基本理念とする。

【基本方針】
・全職員が養育方針に沿った養育を展開できるよう徹底する。
・コミュニケーションを主とした職員間連携、ホーム作りを行う。
・経験年数、役職、部署に応じた人材の育成を検討し、実践していく。
・コンプライアンス(法令・法人内規則)を徹底する。
・施設長、統括主任が中心となり、施設運営を導いていく。
【4】施設の特徴的な取組 横浜市中区に位置する「聖母愛児園」は、「神の家族」というキリスト教精神に基づくホーム制による、異年齢の子どもたちが男女一緒の家庭的養護を通して、「自尊心を高める養育」「自主性を重んじる養育」を目指して家族として生活している。様々な経験を経て入所してくる子ども達に、職員はそれぞれの専門分野の立場からだけでなく、家族として生活全般を見守り、支援を行っている。将来的な生活自立に向けた医療機関・教育機関・関係機関との連携体制は、設立以来の経験からしっかりと根付き構築されている。学習面ではボランティア家庭教師の力を借り、希望により塾や学習ボランティアを活用しており、資格取得や進学では経済的な面も含めた支援を行うなど、子どもの最善の利益を念頭に置いた支援を行っている。
【5】第三者評価の受審状況 2023年06月02日(契約日)~ 2024年01月09日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和2年度
【6】総評 【特に優れていると思われる事項】

1、ケア的養育における「自立」の実現に向けた取組 
  子どもが信頼できる人との関係を構築し、大人に大切にされていると実感できるように、職員は寄り添う姿勢で子どもに向き合っています。子どもと職員は少人数で一緒に生活をする中で、互いの信頼関係の構築に努めています。また、子どもとの個別外出等の機会を通してのふれあいを大切にし、外出ついでに外食したりおやつを買ったりする、普段と違う環境での子どもの言葉に耳を傾けています。小さい子どもが寝る前には、子どもが安心して眠れるよう子どもの居室に行ったり、高校生には年下の子どもが寝入ってから一対一で話を聞くなどの支援を行っています。

2、子ども主体の生活への取組
 職員は、家事は職員が担う「丁寧なお世話」と子どもたちの言葉に耳を傾ける「丁寧な関わり」を実践しています。子ども一人ひとりの要望を具体的に聞き取ってアセスメントし、判断するよう努めています。子どもの意思を尊重し、友だちの家に遊びに行ったり、やりたい習い事ができるよう支援しています。ルールは、子ども運営委員会や高校生会等で話し合ったり、ホームごとに決めていますが、子どもの希望を反映できるよう、話し合いながら柔軟に対応しています。一人で落ち着いて食事をしたい高校生には、居室で食事ができるようにしています。

3、自立に向けた生活イメージの明確化や退所後支援
 子どもが自ら進路の選択や退所後の生活をイメージできるよう、自立サポート委員会を設け、退所前の準備の支援に積極的に取り組んでいます。一人暮らしを見据えた生活訓練ができるステップアップハウスを設置し、高校2・3年生が一人暮らし体験をしています。民間の支援機関と連携し、高校生会でセミナーを開催したり、宿泊型社会体験ツアーや会社見学ツアーを行っています。措置延長の子どもを対象にした自立サポートホームも設置しています。
就労継続が困難な卒園生には自活訓練室を用意して生活の立て直しを支援したり、いつでも相談に乗れる実家的役割として機能しています。

【改善が期待される事項】

1、マニュアルの見直し時期や見直し方法の明確化
 養育・支援の標準的な実施方法として施設独自の「聖母愛児園みんなのしおり~養育ブック~」や、各種マニュアル・規程を整備しています。経験の長い職員が中心となり、「みんなのしおり」やマニュアル等の変更を検討していますが、見直しの時期や方法は明確になっていません。それらを明確にして定期的に見直し、必要な改変を行うことが期待されます。

2、具体的な取組につながる中・長期計画と、連動した単年度事業計画の策定
 単年度事業計画の中に、中・長期計画のビジョンは示されていますが、実行にあたっての具体的な目標は設定されていません。中・長期計画は、経営課題や改善に向けた具体的内容、実行すべき期限、数値目標等を設定するなど、実施状況の評価ができるよう策定することが望まれます。また、単年度事業計画は、中・長期計画の内容を反映して策定することが求められます。

3、職員の定着につながる総合的な人事管理や育成の仕組みの整備
 職員の処遇についての人事考課の仕組や、職員一人ひとりの目標を設定するまでには至っていません。職員が将来を思い描けるような仕組を整備し、職員の定着につなげることが期待されます。
 
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今年度の第三者評価大変お世話になりました。前回の受審から3年が経った評価結果ですが、特に優れていると思われる点、1.ケア的養育における「自立」に向けた取り組み、2.子ども主体の生活への取組、3.自立に向けた生活イメージの明確化や退所後支援の三点を挙げて頂きました。まさに当園が目指して取り組んだことを評価頂くことができたことは職員一同の誇りです。利用者アンケートも全ての項目で前回より子どもたちの満足度を知ることができました。もちろん課題も三点掲げて頂きましたので、良いことばかりに気を取られず、改善が期待される事項の三点はこれからの課題となります。3年後この部分も評価して頂けるように、職員一同心を合わせて改善に取り組みたいと思います。この度は誠にありがとうございました。
第三者評価結果はこちら