社会的養護施設第三者評価結果 検索

たちばな学苑

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK18163
SK18162
第82号


【2】種別 児童養護施設 定員 40名
施設長氏名 平尾 芳浩 所在地 徳島県
URL http://tachibana-gakuen.jp
開設年月日 1955年02月17日 経営法人・設置主体 社会福祉法人たちばな学苑
職員数 常勤職員 19名 非常勤職員 0名
有資格職員 社会福祉士 1名 保育士 7名
管理栄養士 1名 調理師 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 17室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【理念】
・学苑は、家庭の代行機能を持つものであり、子供と起居を共にする職員は、家庭的雰囲気の中から、あらゆる機会をとらえて、子供達の日常生活を支援し、自信を持って社会に適応していく能力を養うよう努力する。
・どの子にも仏性があり、深い理解と愛情をもってすれば、必ずやこのことは達成できると祈りにも似た信念を持っていなければならない。
・児童、職員は激動する社会に対して、無限の努力を惜しまず社会に適応する力を養っていく。
・児童の安全、安心を第一に考えます。
・児童の健全な自立を支援します。
・家庭復帰に向けて支援します。
・里親委託の推進を図ります。
・退所後の生活もサポートします。

【基本方針】
・学習指導に力を入れ、進学希望のある子供は、大学、国立工業専門学校、各種専門学校への進学を奨励する。
・アルバイト、ボランティア等の社会体験を経験させ、就労に向けて資格取得を援助し、職業的能力を助長する。
・児童の権利擁護、事故防止を重視し、児童が意見表明する機会を設ける。
・各関係機関、幼稚園、各学校、事業所等との連絡をはかり、それぞれの専門的な支援、助言、援助を得る。
・広く地域の児童相談業務にも応じて、それぞれの行政諸機関との連携をもって、援助・助言を行う。
・家庭復帰、里親開拓に力を入れ、父・母・親戚・縁者の来苑には、面接を行い、助言すると共に本人が自立で
・職員の資質向上のため職員研修に積極的に参加する。
【4】施設の特徴的な取組 ・養育・支援の目標として自立を掲げ、こども一人一人が社会適応能力を身につけて自信を持って社会に出て行くことができるよう、学習指導の強化や将来の自立時に役立つよう資格取得を奨励している。
・こどもが意見や要望・苦情を表出しやすいよう環境整備(こども会・意見箱等)を行い、出された意見等に対して職員間で協議して対応(こども会・掲示板で報告)している。
【5】第三者評価の受審状況 2021年05月10日(契約日)~ 2022年02月21日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
施設の改革に向けた施設長の取り組みについて
施設では、本年度より施設長が異動し、新しい管理体制となっている。施設長は、経理担当の経験を活かし、施設の経営状況等について把握・分析しつつ、日ごろの養育・支援の取り組みや経営・運営面の改善、業務の実効性を高める取り組みなどに指導力を発揮している。施設長の役割として“決断・行動・責任”が大切であると捉え、職務分担表で役割と責任を示すとともに、毎月の職員会議等の機会に周知を図っている。管理体制の変更に伴い、新たに管理者部会を立ち上げ、施設運営の基盤として機能するよう取り組んでいる。部会には、施設長・次長・主任保育士・主任児童指導員の4名が参加している。月1回、会議を開催し、施設の運営面や養育・支援にかかわる全般の情報について共有しつつ、施設が抱える課題の改善や業務の実効性の向上に向けて協議・検討している。管理者会議で協議した事項は、次回の職員会議等の機会に全職員に報告し、意見や意向等を把握するなど、組織的に取り組む体制を整備している。また、定期的に、職員一人ひとりの面接を行う際にも、管理職4名で聞きとりを行うことで、様々な意見交換を行うことができるよう工夫している。さらに、日ごろの養育・支援においても、職員からの意見や提案等を踏まえ、養育・支援の内容やマニュアルを改善するなど、風通しのよい職場環境づくりにも努めている。職員一人ひとりが責任を持って役割を果たすことができるよう、組織体制の改革に取り組んでいることは、評価できる。

子どもが主体的に生活することができるような養育・支援の取り組み
施設では、子ども一人ひとりが意見や意向等を表出しやすい環境の整備に努めている。月1回、子ども会を開催し、生活上のルールや決まりごとについて話しあったり、遠足などの行事について計画したりするなど、子ども一人ひとりが自身の生活全般について主体的に考え、意見や希望等を出すことができる機会を設けている。子ども会には、担当職員も一緒に参加し、協議中に生じる疑問等に対する助言や子どもに伝えるべき予定・情報を共有するなど、見守りの姿勢を大切にしつつ、状況に応じた支援に取り組んでいる。食堂に意見箱を設置し、子ども会のなかで相談しづらい個人的な悩みや物品購入の要望、職員に対する不満・苦情など、多岐にわたる意見等を収集している。意見箱の近くには、意見箱の利用に関する手順書を設置し、漢字にルビを振ったり、わかりやすい言葉を使ったりして、年少児から年長児まで、幅広く利用することができるよう配慮している。子ども会や意見箱等で収集した意見は、職員会議等の機会に協議・検討し、毎月発行する、子ども向けの広報紙“たちばな通信”を活用するなどして、意見・要望等へのフィードバックを行っている。“たちばな通信”は、共用空間に掲示するとともに、以前に発行された通信も掲示することで、子どもの一人ひとりの要望が通った状況などが確認できるようにしている。また、施設では、年2回、嗜好調査を実施したり、月1回給食便り“ごっつぉーさん”を発行したりするなど、食を通じた子どもの養育・支援にも取り組んでいる。給食便りには、嗜好調査やアンケートの結果、栄養素の説明、旬の食材の紹介など、子どもの意見等を踏まえつつ、食に興味を持つことができるような内容を記載している。子ども一人ひとりの考えを大切に捉え、自発的に意見を発信する力を身につけることができるよう養育・支援に取り組んでいることは、評価できる。

◇改善を求められる点
理念・基本方針の実現に向けた一体的な取り組み
理念・基本方針は、施設運営や養育・支援における核であり、その実現に向けて長期(5~10年)中期(3~5年)の計画を策定するとともに、中・長期計画にもとづく単年度の計画を策定することが望まれる。施設では、“子どもの最善の利益”を考え方の基盤とした5つの目標(①児童の安全、安心を第一に考えます。②児童の健全な自立を支援します。③家庭復帰に向けて支援します。④里親委任の推進を図ります。⑤退所後の生活もサポートします。)を理念として掲げている。また、運営面や日ごろの養育・支援等で表出した課題等の解決・改善に向けて、5年間の中・長期計画を策定している。さらに、昨年度の養育・支援の取り組みを振り返り、単年度の事業計画を策定している。今後は、理念・基本方針の実現に向けた課題や改善点等を抽出し、その達成・実現に向けて、中・長期計画及び単年度計画のなかで具体的に示すなど、一体的な取り組みとなることに期待したい。

職員一人ひとりの質の向上に向けた取り組み
施設では、福祉サービスの質の向上に向けた人材育成を重要課題として、養育・支援の質の向上に取り組んでいる。毎年、施設内外の研修計画を作成し、外部講師を招聘したり、担当職員が講師を務めたりして、計画的に取り組んでいる。職員一人ひとりの希望に応じて、勤務日程等を調整し、研修を受ける機会を確保している。また、今年度より、管理職4名による個別面談を実施し、職員の意見や意向、要望、課題などの把握に努めている。しかし、施設の理念・基本方針等の実現を目標として、施設の“期待する職員像”を明確に示し、個別に目標や課題等を設定し、その達成に向けた目標管理制度を導入するまでには至っていない。今後は、施設の“期待する職員像”を文書等で示し、職員一人ひとりが具体的な目標(目標項目・目標水準・目標期限)を定め、進捗状況や達成度を確認する仕組みづくりに期待したい。施設の理念・基本方針にもとづいた指針に向けて、さらなる養育・支援の質の向上に取り組むことに期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今回で3回目の第三者評価の受審となりました。客観的な評価と自己評価を照らし合わせることで、普段見えていなかった強みと弱みを再確認する、いい機会となりました。評価結果を真摯に受けとめ、今後の施設運営に反映させていただきたいと思います。
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