社会的養護施設第三者評価結果 検索

南さつま子どもの家

【1】第三者評価機関名 (公社)鹿児島県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 S2019067
S15081



【2】種別 児童養護施設 定員 46名
施設長氏名 上薗 昭二郎 所在地 鹿児島県
URL http://www.meitetukai.or.jp
開設年月日 1975年06月25日 経営法人・設置主体 社会福祉法人明澈会
職員数 常勤職員 41名 非常勤職員 7名
有資格職員 臨床心理士 3名 社会福祉士 3名
栄養士 1名 保育士 9名
施設設備の概要 (ア)居室数 小規模グループケア棟3棟 (イ)設備等 地域小規模児童養護施設1棟
(ウ) 地域分園型小規模グループケア棟2棟 (エ) 管理棟・多目的棟1棟・職員寮1棟
【3】理念・基本方針 基本理念(基本養護方針)
  家庭的養護・集団養護のなかで、社会人として自立できる豊かな心と、現状を正しく判断できる眼を養い、施設生活が特異なかたよりを持つことのないよう、子どもの幸せをはかることを方針とする。

運営方針(指導目標)
 1 基本的生活習慣の確立
 2 思いやりの心を育てる
 3 どんな小さな体罰、力の威圧も排除する(特に児童の上下関係)
 4 食事を文化として確立していく
【4】施設の特徴的な取組 ・小規模グループが3ヶ所、地域分園型小規模グループケア2ヶ所、地域小規模児童養護施設1ヶ所で、全ての子どもたちに小グループケアを行っている。
・子どもにとって施設での最大の楽しみは食べることにある。空腹が満たされ、気持ちが安定し、そのようなものとして心身に溶け込んだ食の記憶は、生涯その人の人格の基礎の一つとしてあり続ける。このことを念頭において「食」を基盤とし、とりわけ食べることの重要性を大切にしている。
・食事は、調理職員によって3食調理され、極力既製品を使わず手作りのものを心掛けている。味付けは、化学調味料を使用せず、薄味を心掛けている。子どもの誕生日には、元シェフの調理師が誕生者のホームを訪れ、目の前で特別献立を調理して祝っている。毎週土曜日は、ホームごとに食事作りをしている。学期毎に1回は、独自の献立を立て材料の買い出しに行き、子どもたちも一緒になり調理をしている。
・鹿児島県で初めて、平成28年度に県外専門学校進学者について、2年間の措置延長が認められ、現在も県外の大学に通う子どもが1名いる。
・心理療法は、大学院修了の臨床心理士3名の体制で行っている。
・令和2年より、さらに地域子育て支援の充実を図るために、「子どもと家族の支援センター もぜもぜ」として専任職員を独自に配置している。27年間不登校を中心に相談を行っており、年間延べ400家族以上ある。
・職員研修は、CPI(非暴力的危機介入法)を生活支援職員全員が行い、新たな養育システムとして、日本子ども養育研究会の養育システム(小規模ケアにおける養育モデル)の導入を進めている。地域支援を考えてCSP(コモンセンスペアレンティング)の導入に向けて、現在、認定初級指導者が3名いる。
・平成30年に第8回「生活の中の援助」事業報告会を開催し、事例集9を発行した。第9回は令和3年度に開催予定である。
【5】第三者評価の受審状況 2020年09月14日(契約日)~ 2021年01月19日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
・児童養護施設 南さつま子どもの家は、前身の知覧児童学園時の平成6年に県内で最初に不登校児童指導施設として唯一認定され、「子どもと家族の相談室」を開設し、理事長兼園長は27年余にわたり、ボランティアとして鹿児島市内外において不登校児童を中心とした相談を行っています。理事長の長年の不登校相談の取組や児童養護施設の小規模化への先進的な取組が高く評価され、令和2年に地元新聞社主催、第71回南日本文化賞社会福祉部門で社会福祉法人「明澈会」が顕彰されています。
・当法人の施設は、地域小規模児童養護施設、地域分園型小規模グループケア棟、小規模グループケア棟ですべての子どもたちにグループケアが行われており、新たな社会的養護の在り方を示す国の「新しい社会的養育ビジョン」を先取りする形で、児童養護施設の施設整備・運営が行われています。
・児童の養育に当たっての指導目標として、どんな小さな体罰、力の威圧も排除し思いやりの心を育てることが信条として掲げられ、平成14年からCPI(非暴力的危機介入法)トレーニングを導入、CSP認定初級指導者3名による施設内研修で徹底した体罰や虐待防止等の研修が実施されています。
さらに職員の資質向上を図るため、CPI(非暴力的危機介入法)トレーニングに加え、CSP(コモンセンスペアレンティング)トレーニング等を取り入れ、子どもの心理的変化と行動化した際の適切な対応が取れるよう様々な研修が行われています。
・子どもの養育・支援の標準的な実施方法として「南さつま子どもの家の生活の流れ」として文書化され、社会に巣立っていく子どもたちが常識的な生活マナーなどを習得して真に自立していけるよう、細かな配慮がなされたマニュアルが作成され実施されています。
・児童養護施設に心理療法担当職員の配置が予算化される前から心理職員を配置し、大学院修士課程を修了した臨床心理士3名(内1名は博士課程在籍)が、すべての子どもの心理的課題に対応しています。併せて、月に1回、施設心理を専門とする大学教授とのグループスーパービジョンを受け、ケースの振り返りを行いながら、子どもたちの心理支援を行っています。
・施設の運営方針として、食事を命にとって大事なものとして捉え、減農薬米を使用したり、既製品や化学調味料は極力使用せず手作りで薄味の食事を提供するなど、食に対して細やかな配慮がなされています。また、子どもの誕生日には、元シェフの調理師がホームに出向いて特別メニューを目の前で調理して提供するなど、食事が子どもたちの楽しみとなっています。
◇改善を求められる点
・国・県の施策に沿った先進的な取組により、施設の小規模化が計画的に進められ、福祉人材の確保も充実した運営となっています。そのような中でも、理念・基本方針の実現に向け養育・支援の更なる充実、課題解決等のほか、地域福祉サービスに基づいた新たな福祉サービスの実施など、将来構想、財務分析による中・長期ビジョン、収支計画の策定が期待されます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  毎年の自己評価で点検を行い向上点の改善を図ってきました。今回第三者評価を受審し、向上点の示唆をいただいた財務分析による中・長期ビジョン、収支計画の策定は、今後の課題としたいと思います。これまでの取り組みを高く評価していただきましたので、この評価に甘んじることなく気を引き締めて質の高い養育をめざし、又地域の子育て支援を進めてまいります。
 施設の分園型・多機能化をさらに進めていくために、スーパービジョン体制の向上、職員の資質向上に努めていきたいと思います。その中心にあるのは、子どもの育ちをどのように支えるかであり、子どものためにもっとできることはないかを「南さつま子どもの家の生活の流れ」を基本に見直し・点検を行いながら丁寧な養育、日々の生活を大事にしていきます。
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