社会的養護施設第三者評価結果 検索

あゆみの丘

【1】第三者評価機関名 (特非)エイジコンサーン・ジャパン
【2】種別 児童心理治療施設 定員 50名
施設長氏名 白土 隆司 所在地 大阪府
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【3】実施調査日 2014年09月08日~2015年03月31日
【4】総評 (特に評価が高い点)
◇社会福祉法人阪南福祉事業会を母体として、児童福祉法第43条2に基づき、心に問題を抱える原則18歳未満の子どもを児童相談所の決定で入所させ、心理治療を行う。
厚生労働省は将来、57ヵ所まで増やす目標を立ている施設であり、あゆみの丘はオピニオンリーダー的な施設である。平成19年より「コモンセンス・ペアレンティングプログラム」(以下CSPと表記)「セカンドステッププログラム」(以下SSPと表記)を全面導入し、施設の基本理念と基本方針を確実に実践し、医療面でも精神科医、看護師で心身共の健康をサポートしており、社会福祉事業のあるべき姿を実現している。

◇児童相談所からの「援助計画」を基にアセスメント、モニタリング、家族との面談を重ね「自立支援計画」を作成し、自立支援計画、アセスメントに沿った心理治療を行っている。

◇施設では月に一度、主任・栄養士・数名の職員で「食育会議」を開催し、食事についての正しい知識と望ましい食習慣を養う事や、好ましい人間関係の育成、自己管理能力の育成を目的とした三本柱をもって話し合いを行っており、また小中学生を対象に食育の授業を実施し、その内容は充実している。

◇子どもが入所決定から入所日までの間に児童相談所の援助方針を反映しながら、自立支援計画を作成し、入所日に支援目標を子どもに示し理解と合意を得ている。施設として確立された自立支援計画が当施設の根幹となり、「CSP」「SSP」に基づいて治療的な支援が行われ、支援における振返りは毎朝の職員会議で時間を決めて行われている。
「CSP」「SSP」に基づいた治療・支援・状況が統一した様式で記入されバラつきはなく、記録管理者、文書管理規定が明文化されている。

◇全職員は非暴力的介入(以下CPIと表記)の手法を習得しており、年3~4回は練習の機会を持っている。その基本となる「身体接触のある介入まで至ることのない対応のありかた」についても繰り返し学んでいる。そしてプライバシー保護についての規定マニュアルは明文化され職員は周知徹底している。

◇研修等の記録が適切に整理及び管理されており、職員会議等で研修結果報告の機会があり職員の情緒障害児短期治療施設の治療・支援に対するレベルの高さを維持しており、さらに職員の資質向上に法人及び施設として寄与している。

(改善が求められる点)
◇客観的な基準を定めた人事考課規程が整備されておらず、職員の評価を公平に行うため人事考課規程を定め職員の資質向上に寄与することを期待する。

◇厚生労働省より、平成24年3月29日通達で運営指針が示され、これに基づいた高度で専門的な運営と治療及び支援のための整備において向上するためには、改善計画策定→計画実施→実施状況の評価→改善計画の見直し→必要があれば計画変更のサイクルを構築することを今後の課題として検討すること。

◇情緒障害児短期治療施設としての基本的な「育てなおし」で大人との信頼感の獲得、ゆるぎのない自己肯定という点にまで目配りが十分であったかを含めて今後の支援の深まりを期待する。

◇情緒障害児短期治療施設運営指針に明記されているように、アフターケアは施設の業務であり、退所後何年経過しても施設に相談できることを伝え、何らかのかたちで施設退所者が集まれるような機会を設けることを再考されたい。

◇日々の子ども達への治療、支援の中で、人権侵害・プライバシー保護については職員は周知できているが「基本的人権」「プライバシー保護」といった特化した勉強会及び研修は実施していないので、各種会議等で時間を設けて勉強会を行うことを提案する。

◇施設内で感染症が発生した場合、隔離できる部屋がなく、感染の拡大を防ぐためにも隔離ルームの整備が必要である。現在防災倉庫を準備中とのことであるが、早急に備蓄品のリストアップや保管管理方法に取組むことを要望する。

◇民生委員・児童委員と定期的な会議を開催し、具体的なニーズを把握するため民生及び児童委員の声を聴く機会の実現を期待する。

◇中長期計画の中に情緒障害児短期治療施設が求める基本的な姿勢や問題意識を明確に表示し、これらを単年度計画に「職員研修実施要項」としてスケジュールを組込むこと。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 このたびの第三者評価受審に臨み、当施設として長らくの懸案であった散在する各種文書類を集約する機会となり、それらの中身の見直しや、不足するものが明確になったことで、最低限の整備に着手することができたという点で、たいへん意義深いものでした。

 評価の結果からは、当施設の弱点である地域交流やPDCAサイクルのこと、また、特に治療を意識するあまり、子どもとの自然な触れ合いが少なくなっているのではという支援上の重要な課題をあらためて認識させられました。

 指摘いただいた改善点については、まずは全職員の意識共有を図ることから始めます。
 また、中長期計画に関しては、早急に法人レベルでの検討に取り掛かりたいと考えています。 感謝。
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