社会的養護施設第三者評価結果 検索

あゆみの丘

【1】第三者評価機関名 (特非)ふくてっく
評価調査者研修修了番号 SK18235
SK18234
0501B093
1201C029
1801C022
【2】種別 児童心理治療施設 定員 45名
施設長氏名 井上 健介 所在地 大阪府
URL http://hannan-fukushi.org/ayumi/
開設年月日 2002年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 阪南福祉事業会
職員数 常勤職員 33名 非常勤職員 11名
有資格職員 社会福祉士 3名 精神保健福祉士 1名
保育士 13名 医師 2名
看護師 2名 臨床心理士 6名
施設設備の概要 (ア)居室数 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【法人理念】
私たちは、一人ひとりを大切に
笑顔と笑い声のたえない共同生活をめざします
【法人基本方針】
一、命の尊さを教え、共に生きる喜びを感じ共に育ちあうことを大切にします
一、穏やかでここちよい生活の中で子どもの意欲を育むよう支援します
一、子どもの心の中に住み込み、安心安全の基地となるよう寄り添います
【施設基本方針】
一、子どもは、子どもの権利条約及び子どもの代替的養育ガイドラインに基づき、個別具体的に権利の実現を支援されます
一、子どもは、プロ意識を持った省察的実践者として学び続ける職員から支援されます
一、子どもは、社会適応を促される合理的な生活指導と心理・医療に関する治療を受けると同時に、家庭的である工夫が施された環境で支援されます
【4】施設の特徴的な取組 あゆみの丘では、様々な事情により心理的困難や苦しみを抱え、日常生活に生きにくさを感じた、心理治療が必要な子どもに対して、自立した「あたりまえの生活」を回復するための社会スキルを身につけるトレーニングを実施するために、平成19年から予防的教育プログラムを導入し、日本の制度や風土に適合するよう改良を加えつつ実践してきた。
しかしながら、近年、入所する子どもたちのケアニーズはかつての比ではなく、治療・支援の基本方針を抜本的に見直す必要に迫られている。
あゆみの丘では、新たに施設長を迎え、副施設長、統括主任以下の体制を刷新して運営組織の見直しを進めている。
元保養所であった建物を活用しており、周辺の自然環境や、建物から大阪平野を展望する景観、ゆったりしたロビーなどに恵まれる反面、子ども一人ひとりの居場所づくりが難しい中で、間仕切り等の工夫を行っている。また、コロナ感染症ユニットを設ける等の対策を講じている。
【5】第三者評価の受審状況 2021年05月08日(契約日)~ 2021年12月23日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 【施設をとりまく背景と取組】
■近年、児童心理治療施設に入所する子どものケアニーズは著しく変貌を遂げています。そのため施設に求められる機能のパラダイムシフト的環境変化に伴う課題が山積しており、新たなビジョンの構築が求められています。施設長は、支援の基本に立ち戻ることを祈念して、組織内にユマニチュード委員会をたち上げ、子ども1人ひとりに敬意をもって接することを職員の共通理解とするよう取組んでいます。それは、確立されたプログラム的実践から脱却して、省察的実践のなかで組織の再構築に挑む過程にあることを意味しています。
また、コロナ禍の波は留まる様相を見せず、子どもたちと地域との交流や、地域福祉へのアウトリーチなど、本来目指すべき取組が難しくなっています。施設では、感染ユニットを設けて動線の重複を避ける等、徹底した防疫体制を構築しつつ、例えば、農業クラブを創設して、子どもたちの園外活動を促進する等、可能な限りの取組を実践しています。しかしながら、本評価基準項目の判断基準に照らしては、多数の項目で残念ながら低評価とせざるを得ない現実もあります。
本評価結果を読み込むに当たって、以上2点の事情を含んでいただきたいところです。

【特に優れた点】
■実習生をはじめとして、福祉人材の育成に積極的に取組んでいます。
■感染症対策を徹底するとともに、万一の罹患に備えて生活の場を分離する対策(感染症ユニット)が講じられています。
■子ども間に不適応行動など、行動上の問題があった場合の対応は高い専門性をもって実施しています。
■子どもの権利擁護にかかる取組を徹底するとともに、子どもに対して権利についての正しい理解を育むように支援しています。
■看護師を配置するとともに、医療機関との連携により、手厚い健康管理の体制があります。
■性および生の教育について、充実したプログラムを実施しています。
■併設する分教室と連携するとともに、施設内に学習塾を開設し、子どもの学力に応じた学習環境を整備しています。

【改善を求める点】
■新たな治療・支援方針を模索する過程にあり、確たる中・長期ビジョンや、それと連動する組織構成や「人材育成や人事管理の方針について、全職員のコンセンサスを得ることに組織をあげた努力を必要としています。
■立地条件や児童心理治療施設の特性、そして昨今のコロナ禍の影響もあって容易ではありませんが、ボランティア導入に向けた取組みをはじめとして、子どもと地域との交流機会を増進することを期待します。
■また、地域の福祉課題等に向けたアウトリーチの取り組みを期待します。
■事業計画の中で、子どもや保護者に直接かかわる主要な内容や新たな方向性については、わかりやすく説明することが求められます。
■改善課題や目標課題を見える化(文書化)して、着実に取組む仕組みの構築を期待します。
■施設・設備の老朽化や、児童心理治療施設に求められる機能とハードの乖離が顕著になりつつあります。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今回の受診は当園の現状を公的基準に沿って客観視し、改善、変革するための絶好の機会だと捉えています。前回の受診は比較的高評価をいただいたと認識していますが、現状を批判的に検討するために、あえて評価機関の変更を行いました。当時、当園は施設養護のトップランナーとしての自負がありました。
しかし時代の潮流に応じた変革が求められおり、この数年は従前の支援法に数々の変更と改良を加えてきました。本受診はそのような試行錯誤の真っ只中のものでしたので、支援観の相違から職員間に対立と軋轢を生じさせる事態になりかねませんでした。それでも私たちが望むのは問題に蓋をするのではなく、対話によって解決を志向することです。私たちは本評価を確かな導きの糸とし、対話と変革への挑戦を続けます。
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