社会的養護施設第三者評価結果 検索

岸和田学園

【1】第三者評価機関名 (特非)ふくてっく
評価調査者研修修了番号 SK15202
S15045
S15044
S24157

【2】種別 児童養護施設 定員 61名
施設長氏名 永野 良子 所在地 大阪府
URL http://www.kishiwada-gakuen.or.jp
開設年月日 1948年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 阪南福祉事業会
職員数 常勤職員 38名 非常勤職員 10名
専門職員 指導員・保育士 29名 心理士 1名
栄養士 1名 調理士 4名
看護師 1名 事務職 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 運営理念:なりたい自分になるお手伝いをする。
基本方針:権利擁護と自立心の育成
【4】施設の特徴的な取組 岸和田学園は長年、大舎制をとってきましたが、家庭に代わる安心安全な環境を提供するために小規模ケアへの移行を行っています。一般家庭に近い住環境の中で小人数での暮らしを営むことで自然に生活技術を身につけられるようにしているのです。子どものやりたい・やってみようを大切にし、クラブ活動・習い事のメニューも豊富に用意しています。また、習いごとの成果を披露する場として、にじいろ"夢”コンサートを行い、達成感と自信を育む機会としています。援助技術としてコモンセンスペアレンティング(CSP)を取り入れ、子どもの適応行動に注目して「褒める」ことで関わり、大人との信頼関係を構築し、自己肯定感を高められるよう支援しています。
【5】第三者評価の受審状況 2017年12月28日(契約日)~ 2018年03月14日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 【特に評価される点】
≪明確な事業方針とその推進・園長のリーダーシップ≫
岸和田学園は1948年の創立以来、子どもたちの権利擁護と自立(なりたい自分になる)を支援することを理念として一貫してきました。創設時は定員170名の大舎でしたが、平成20年にユニット型児童養護施設「あおぞら」(定員66名)を分離独立して定員減を行い、さらに学園の建替事業により、昨年完成した女子棟「あんだんて」と本年完成予定の男子棟「あにまあと」の、それぞれ小規模ユニット型児童養護施設に分園化を進めています。すでに地域小規模園(定員6名)を2園設置しており、家庭的養護への移行を積極的に進めているところです。単純に形態的な小規模ユニット化を進めるのではなく、柔軟で複層的な職員と子どもの関わりや、職員間連携の密接さ、配置の融通など、大舎制のよき伝統も切り捨てることなく、そこに「あおぞら」で培った小規模処遇の真価を重ねようとしています。園長の積極的な企画力、事業推進力は力強く、適所に配置された有能な職員の信望を集めています。子どもたちや職員には、大舎から小舎への急激な体制変化に伴う、多少の混乱はありますが、児童養護事業の先駆的なモデルとして、ビジョンの具現化を完成されることを期待します。

≪積極的な地域交流≫
夕涼み会やにじいろコンサートなど、地域に開かれた催しを実践し、地域との豊かな交流の中で、子どもたちの成功体験を積み重ねています。そのことが、子どもたちの生きる力を大きく育んでいます。また、地域にとってもインクルーシヴな福祉文化の醸成に寄与していることは高く評価できます。
≪学習支援と活動機会≫園内に公文教室の場と指導に当たる職員を配置して、学習支援しています。また多様なクラブ活動のメニューを用意して、子どもたちが主体的に活動を選択できるようにしています。

【改善すべき課題】
≪事業計画の周知徹底≫
小規模ユニット化を急速に進めていますが、事業計画の子どもや保護者等への周知がやや遅れています。子どもにとって、小舎化は家庭的養護が目指す多くのメリットがあり、岸和田学園では「あおぞら」で培ったユニットケアと、同法人の関連施設である、児童心理治療施設「あゆみの丘」からの専門職員の異動も加え、ソフトの再構築をめざしていますが、そうした計画方針が子どもには伝わっていません。大舎制のころの自由さが失われたと感じている子どももいるようです。一部の職員にも、今後の展望が理解できず、不安と困惑があります。10年前、「あおぞら」を新規に立ち上げた時の、職員も子どもも一丸となって盛り上がった気運を、ふたたび岸和田学園にも起こしてゆくことが、事業の成功には不可欠ですので、子どもや保護者等、そして全職員で事業計画の趣旨を全体化させることを求めます。

≪広報活動≫
福祉事業を推進してゆくうえで、地域の理解と支援は欠かせません。また事業所が公益的事業を展開してゆくには、地域のニーズを把握することが必要ですが、地域に事業所の機能を知らしめることも欠かせません。新しい男子棟の完成で、建替え事業が一段落する機会に、園としての広報活動を活性化することが求められます。

≪組織的なアフターケア≫
卒園者に対するアフターケアーを在園当時の担当者が鋭意取り組んでいることは、大いに結構なことですが、組織的な体制の整備も必要です。

≪性教育の実践≫
性教育のカリキュラムを整備し、実践することを期待します。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 現在岸和田学園は、「岸和田学園家庭的養護推進計画」における大規模な建替事業の真っ只中で、家庭的養護への移行を先駆的に進めております。
そんな中、二回目の第三者評価を受審し、評価や課題を的確に示していただけたことは、これから完成させる私たちのビジョンの具現化における大きな指針となりました。
特に評価される点として挙げられた、小規模ユニット化を進める中での柔軟で複層的な職員と子どものかかわりや、職員間の連携の密接さ、職員配置の融通などの大舎制のよき伝統を守りつつ、「あおぞら」で培った小規模ケアの真価を重ねていき、小規模化の多くのメリットを活かしていきたいと思います。
また、課題として見えてきた施設の運営方針や事業計画などの説明責任を果たせるよう、子どもたちやご家族に対しては、わかりやすく理解できるような掲示や印刷物の作成を急ぎます。そして、社会に対してはホームページ等の活用により運営の透明性を確保していきます。
これからも子どもたちと一緒に作りあげる暮らしを大切に「笑顔と笑い声のたえないおうちづくり」に向けて、さらに努力を重ねて参ります。
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