社会的養護施設第三者評価結果 検索

済生会大阪乳児院

【1】第三者評価機関名 (一財)大阪保育運動センター
評価調査者研修修了番号 SK2022025
SK15201
S24193


【2】種別 乳児院 定員 60名
施設長氏名 今西 裕子 所在地 大阪府
URL
開設年月日 1951年08月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人恩賜財団済生会支部大阪府済生会
職員数 常勤職員 59名 非常勤職員 15名
有資格職員 保育士 42名 看護師 17名
栄養士 1名 調理師 5名
臨床心理士 2名 家庭支援専門委員/里親支援専門委員 5名/2名
施設設備の概要 (ア)居室数 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 運営理念
①子どもの最善の利益を守ります。
②社会的養護の立場から、地域社会と協力して、子どもとご家族を支援します。
③子どもを一人の人格として尊重し、その権利を守ります。
基本方針
①病院併設型の特徴を生かして、小児科やリハビリテーション科など中津病院各科との連携をはかりながら、医療的ケアを必要とする子どもの保育看護に努めます。
②子どもの権利を尊重し、乳幼児であってもその意志を最大限汲み取り、子どもの主体性が育めるよう努めます。
③施設擁護から、家庭的養護、個別化への移行を更に進めます。
④子どもたちにできる限りの愛情を注ぎ、愛着形成に努めます。
⑤子どもの発育・発達を促す保育をいたします。身体的にハンディキャップを持つ子どもたちもその能力を最大限伸ばせるような養育を目指します。
⑥措置変更等の子どもの環境の変化が、その子どもにとって関係の断絶体験にならないよう、細心の注意を払います。
⑦地域社会との関わりを大切にする施設運営をはかり、社会に貢献いたします。
⑧事故防止・安全対策に努めます。
⑨個人情報の保護に努めます。
【4】施設の特徴的な取組 ・大阪府内唯一の病院併設型の乳児院として、医療的ケアが必要な病虚弱児の受け入れを行っています。
・令和4年4月の新築移転後小規模化へと移行し、居室をユニットにすることにより家庭的な環境下で養育に取り組んでいます。
・包括的な子育て支援事業を目指して里親事業(里親支援機関「おむすび」)、妊産婦支援事業(産前産後母子支援事業「おくるみ」)、子育て短期支援事業(ショートステイ)などの充実を図り、より一層、近隣区域への子育て支援、保健行政機関との連携強化を図っています。
【5】第三者評価の受審状況 2024年07月16日(契約日)~ 2025年01月25日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和元年度
【6】総評  大阪乳児院は、大阪駅周辺における戦争孤児、浮浪児などの緊急保護を目的に1949年に「中津病院付属乳児院」として開院し、1951年国と大阪府の補助を得て「大阪乳児院」になりました。大阪府内唯一の医療型乳児施設として、医療的ケア児も受け入れています。2023年4月中津病院の1フロアから大淀南医療福祉総合施設内に新築移転しました。その際、家庭的な養育環境として小規模・ユニット化を図るため、定員数を70人から60人に変更しました。(「シリーズ済生会の力第18集」より)
 9階1フロアを拠点とする施設なので散歩に出かけるのもエレベーターを利用しなければなりませんが、新施設は職員の方々の子どもたちへの想いを活かした施設となっています。木のぬくもりを感じる建具をはじめ、子どもたちが本を読んだり遊んだりできるプレイルームや、水遊びのできる広々としたバルコニーを備えています。調理室で働く職員の方々はワインカラーのレストランのシェフの様な装いで、子どもたちもその姿をプレイルームから覗くのが大好きです。
<評価の高い点>
*施設の移転に伴い、設備・備品等子どもの安全に重点を置いた工夫を施しています。
 小規模・ユニット化により、家庭的保育の充実と子どもと保育士との信頼関係の強化を図っています。
*大阪乳児院「子どもの権利擁護のための倫理綱領」や運営理念、事業目標・事業計画、苦情処理窓口と苦情処理の流れを玄関の入口横の掲示板に明示しており、保護者にも職員にも、常に眼に入るように「見える化」を施しています。
*事業計画の策定をはじめ施設の運営管理に対し施設長を中心とする管理職のリーダシップが発揮されています。
*「自立支援計画」策定のためのケースカンファレンスは前回の第三者評価時よりも内容的に充実しています。
*正規職員による夜勤専任職員の採用を実現し、夜勤体制の充実を図っています。
*家庭支援専門相談員の増員(2名から5名)により関係機関や保護者との連携強化を図っています。
*「新しい社会的養育ビジョン」に基づく里親支援事業(おむすび)や産前産後支援事業(おくるみ)をはじめ、ショートステイなどを積極的に取組み、移転に伴い新たに地域貢献を視野に入れた育児支援として「ベビーダンス講習会」などを開催しています。
<改善を求める点>
*研修については「子ども応援会議」や新任研修での工夫は伺えますが、前回の第三者評価受審時同様に、医療に重点を置いた研修に偏りがちなので、看護師・保育士を問わず、乳幼児の発達・成長を促す保育や愛着の形成にかかわる専門性を高める研修内容の充実を期待します。
*毎週行っている自己評価のチェックリストについては、他施設の経験等も参考にし、工夫をしています。更に職員の自己肯定感を高められるような工夫を期待します。
*小規模・ユニット化でクラスの中での、連絡・情報共有は強化していますが、逆に横の繋がりがまだ十分に機能しておらず、一人ひとりの子どもの情報の共有の希薄さが伺えます。同時に、内容的に充実しているケースカンファレンスですが、量的実施回数の低下が伺えるので改善を期待します。
*家庭支援専門相談員の業務については関係機関との連携によるケースワーカー的役割が求められることから社会福祉士の採用や登用の検討を期待します。
*乳児期の子どもの生活・発達と心の育ちとの視点で感染症対策としてのマスク利用について検討することを期待します。
*ホームページによる予算・決算報告の社会的公表の実現に向けて、法人に強く働きかけることを要望します
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント   当施設は新築移転後に住的環境(空調設備や防災)を整備し、さらに子どもの発達・社会的な環境に応じた保育環境の質向上のために小規模化を取り入れた構造に変わりました。新築移転後という中で評価をしていただきましたが、24時間に渡り、当施設のハード、ソフト両面に細やかに子どもの生活の視点で審査をしていただいたと感じています。今後は一層、子どもの生活の場として心身の成長や安全に重点を置いた環境作りを目指すことを目標に致します。さらに高層階にある乳児院として火災や地震等の自然災害にも対応できる施設となるように努力いたします。                                                                                                            また、質の高い保育を提供するために、人的配置と研修等を計画的に行い、職員の階層別に個人目標を軸に育成計画を策定してまいります。さらにご指導をいただいた、職員のライフイベントにも対応できる安定した人材確保に努めると共に、乳児院として子どものアセスメントの強化を図るためにソーシャルワーカーの配置を最優先と致します。今回評価をいただいた乳児院高機能、多機能の一つである里親支援センターを目指した現里親支援機関「おむすび」の支援体制や研修などの強化を図り、地域全体や里親対象者への働きかけを致します。また、一方の妊産婦等生活援助事業「おくるみ」は、専門職を配置し、妊産婦の安全なお産を支援することは当然ながら生活アセスメントを中心に当該地域の保健センター、医療機関、子ども家庭センターとの連携を引き続き行います。この事業も本体事業と共に乳児院の機能や役割を職員と共に考えていく必要があることを示唆いただきましたこと、感謝申し上げます。また、医療的ケアの子どもの入所は引き続き、積極的に行いますが、ご指摘いただいたようにバランスを考えた職員にとって重要な内容を常に選択しながら保育士、看護師の質向上に努め、乳幼児の発達・成長を促す保育や愛着形成に関わる研修を積極的に行って参ります。                        ご指導いただいた小規模化への移行後は、特に職員間の横連携の充実を図り、ケースカンファレンスの量的な改善を行いながら情報の共有、組織としての協働を目指してまいります。最後に質の高い、家庭支援専門員の支援体制を構築するために、現在同センター内のSWの応援を予定しているところです。彼らの知識や手法を取り入れて関係機関との連携に努めます。最後になりますが、予算・決算報告の情報公開について法人としての有り方についてご指摘をいただきました。法人として今後も引き続き検討してまいります。  
 最後になりますが、今回の審査によって子どもを中心に私たちが何を為すべきかを改めて考える貴重な機会を頂戴しました。また調査員の皆様の施設へ寄り添った暖かいコメントも大変有難く、私たちのモチベーションにつながっております。      有難うございました。
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