社会的養護施設第三者評価結果

富士見乳児院

データ登録日 2026年03月11日
【1】第三者評価機関名 (株)IMSジャパン
評価調査者研修修了番号 SK2024089
SK2024090
H2201054


【2】種別 乳児院 定員 65名
施設長氏名 松田 賢治 所在地 埼玉県
URL www.fujimi-babyhome.or.jp
開設年月日 1961年12月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人愛全会
職員数 常勤職員 56名 非常勤職員 6名
有資格職員 保育士 32名 看護師 12名
家庭支援専門相談員 2名 里親支援専門相談員 1名
栄養士 2名 調理師 3
施設設備の概要 (ア)居室数 子ども65名×4部屋 (イ)設備等 幼児部 遊戯室、食堂、寝室、風呂、サンルーム、トイレ\n乳児部 遊戯室、食堂、寝室、風呂、サンルーム
(ウ) 応接室、事務室、病室、調理室、洗濯室、実習生室\n地域交流室、親子訓練室、ボランティア室、職員休憩室、仮眠室 (エ) テラス、屋上バルコニー
【3】理念・基本方針 (1)理念
 一人ひとりの子どものかけがえのない生命を守り養育するとともに、安心した生活環境の中
 で身心共に健やかに成長できるように努める。

(2)基本方針
 ①子どもたちの基本的人権を守り、豊かな人間性を養う。
 ②愛情をもって接し、情緒の安定を図る。
 ③健康管理、事故防止に努め、心身ともに健やかな子に育てる。
 ④個々の発達に応じ、より多くの可能性を引き出すように努めること。
【4】施設の特徴的な取組

・子育て短期支援事業を13市町村と受託契約を締結している。
・拠点施設と連携をとりながら、彩の国あんしんセーフティネット事業に伴う生計困難者自立
 支援相談事業を行っている。
・家庭裁判所からの委託で少年の再非行防止のための制度「補導委託」に協力している。
・要保護児童対策地域協議会への参加。

【5】第三者評価の受審状況 2025年07月10日(契約日)~ 2026年02月05日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和4年度
【6】総評

【特に評価できる点】

[1] 職員が共に楽しむ姿勢を大切にし、創意工夫を重ねた遊びや行事により、子どもたちの笑顔が溢れた充実した生活が実現されています
 
 日々の生活が充実し、子どもたちが笑顔で楽しく過ごせるよう、さまざまな工夫がなされています。養育委員会を中心に室内遊び案を定期的に発信し、各ホームの状況に応じて日々の遊びに取り入れることで、遊びの幅を広げる取り組みが定着しています。また、毎月テーマを設けた制作活動や、ピアノを用いたリトミック、滑り台・マット・クッションブロックを活用した身体活動、若手職員による手作り玩具を用いた遊びの提供など、職員の創意工夫が随所に見られます。日々の遊びにとどまらず、行事においても「大人も子どもも一緒に楽しむ」姿勢が大切にされています。例えばハロウィン行事では、「大人・子どもも楽しもう」をコンセプトに、ホームごとにテーマを決めて仮装を行い、施設全体をハロウィン仕様に装飾するなど、一体となって楽しむ様子が見られました。スタンプラリーや仮装コンテストの実施、食事面においてもお化けやパンプキンを模した献立を取り入れるなど、行事全体が工夫され、印象的な取り組みとなっています。年間行事に限らず、日々の小さな出来事においても、職員が「一緒に楽しむ」気持ちを共有しながら関わっていることが、子どもたちの生活に潤いと安心感をもたらしています。


[2] 施設は人材育成に力を入れ、質量ともに豊富で体系的かつ計画的な職員研修を実施しており、今後も着々と職員研修の充実が図られていくものと思われます

 施設は人材育成に力を入れ、質量ともに豊富で体系的かつ計画的な職員研修を実施しています。今年度、マネジメント、養護技術、権利擁護、防災、キャリアパス研修等広範囲の内容の研修を実施するとともに、外部研修と院内研修を合わせて、職員1人当たり約6回と多くの受講機会が設けられています。「研修委員会」が前年度の振り返りや職員アンケートに基づき、年度始めに年間研修計画を作成した上で、職員研修を計画的に実施しています。また、施設の「キャリアパスモデル」には、施設長から新任職員までの階層ごとに必要な研修が明記されています。特に新任職員に対してはチューター制度が施行され、指導育成方法を標準化するとともに、チューター研修等チューターをサポートする仕組みも整えています。今回の職員自己評価において約半数の職員が特に良い点として本制度をあげており、特筆に値します。さらに昨年度から職員個々の「研修受講履歴カード」を作成しており、今後キャリアパスモデルの階層別研修体系と当受講履歴に基づき個人別研修計画の作成が可能となるなど、着々と職員研修の充実が図られていくものと思われます。


[3] ホームページやSNS、広報誌を通して施設の魅力を発信し、信頼性が高まる広報に取り組んでいます

 広報活動に積極的に取り組み、個人情報に配慮しながら信頼性と発信力の高い広報活動を行っている点は高く評価できます。ホームページやSNS、広報誌を活用して最新の情報を発信しており、開かれた施設運営を実践しています。ホームページでは行事の写真や寄贈品へのお礼、詳細な職員募集要項まで丁寧に掲載されており、施設の姿勢が分かりやすく伝わってきます。SNSでは、若手職員が中心となって施設の自慢である食事メニューや季節の行事、防犯訓練などについて発信しており、日常の具体的な場面から施設の魅力が感じられます。また、年2回発行の広報誌「きらきら」は、全カラー8ページにわたる見応えのあるものになっています。「ほっこりエピソード」や「うちの自慢」といったコーナーを通じて、子どもたちの生き生きとした様子や温かな支援の様子を写真とともに紹介することで、保護者に親しみやすく施設の取り組みが伝わり、安心感につながるものと思われます。職員が主体的に関わりながら情報発信を行っている点も特筆すべきであり、施設の魅力を伝えようとする姿勢が随所に感じられます。


【今後の課題と思われる点】

[1] 改めて施設の目指す姿を明確にした中長期計画を職員参加で策定し、その実現に施設全体が一体となって取り組む体制を整えていくことに期待します

 2021年度から2026年度までを計画期間とする中長期計画が策定されています。その中に計画の中心的事項として「家庭的養護推進計画」が掲載されており、養育単位の小規模化に向けた年次計画が掲げられています。ただし、現在小規模化は本計画どおりに進んでいない状況です。一方で、今年度、2029年度までの子どもの定数削減の推移と本体施設の改築に係る年次計画を掲げた「小規模グループ養育等に伴う大規模改修工事」が策定されています。実質的に新たな「家庭的養護推進計画」と言える計画です。運営会議で案を作成し、理事会承認後に職員会議で口頭説明していますが、職員自己評価を見る限り必ずしも職員に理解が行き渡っているとはいえない面があります。施設では中長期計画を前倒しで見直す考えを有しています。施設は現在、小規模化の推進とともに、子どもの高年齢化、障害児や被虐待児の増加への対応、人材確保・定着性向上対策という施設運営上の大きな課題を有しています。これらの課題の解決に向けて、改めて3~5年後の施設の目指す姿を明確にした中長期計画を職員参加で策定するとともに共有し、その実現に施設全体が一体となって取り組む体制を整えていくことに期待します。


[2] 高年齢化への対応を進める中で、生活環境や日常の関わりを通した社会経験の機会を、より意図的に広げていくことが求められます

 当施設では近年、高年齢化の傾向が強まり、これまでの養育の在り方を見直しながら、高年齢児に見合った支援の提供について試行錯誤を重ねています。年齢や発達に応じた柔軟な支援を心掛け、生活の中では、幼児が食事時の配膳を手伝うなど、活動を通して経験を積めるよう取り組んでいます。また、食事時のテーブルや椅子、便座のサイズについても見直しの必要性を認識し、検討を進めています。来年度からの地域の幼稚園利用開始に向けた準備も進めてきました。施設内で多様な経験を積めるよう日々努力していますが、十分とは言えない面も見受けられます。例えば、保護者への手紙を一緒にポストへ投函することや、買い物の経験、散歩の道中での関わりなど、日常の中にある身近な場面を通して、子どもたちが社会経験を積めるような工夫に、今後一層の取り組みが期待されます。


[3] 多職種の視点を取り入れながら指導目標や自立支援計画書を立案し、実践につなげていくことが期待されます

 子ども一人ひとりに対して毎月「指導目標」を作成し、ケース会議で評価・見直しを行う仕組みを整えています。一方で、指導目標の作成・評価が主にホーム内職員に限られており、多職種による横断的なアセスメントや合議の体制については今後の課題といえます。特に、子どもの年齢が高くなるにつれて発達段階に応じた心理的課題や発達課題が顕在化しやすくなることから、心理職員など専門職の視点を計画作成に十分に反映させる必要があります。例えば、指導目標の書式を見直し、心理職員等が関わる項目を盛り込むなど、他の専門職と連携しやすい形に改善していくのも一案といえます。そのうえで、指導目標と児童自立支援計画書との内容の連動を図り、段階的に多職種が関与できる体制を整えることで、より組織的で一貫性のある支援計画の策定につなげることが期待されます。

【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  当施設では、「第三者評価」を客観的な評価受けるだけでなく、自らの日頃の実践をPDCAマネジメントサイクルに則り、振り返り検証する機会と位置づけています。
 今回は、管理者や一般職員の別なく全職員が全項目に対し自己評価を行いました。
 一般職員の運営管理に関する理解度も測ることができ、これからの情報の共有や周知方法など考えさせられる良い機会にもなりました。
 前回の受審により明らかになった課題に対しても、改善されているものとまだ余地を残しているものを客観的に確認することができました。引き続き十分な検討を行った上で、役職員一体となって福祉サービスの質の向上に努めてまいります。